2023年10月29日(日)には飛騨市で山城シンポジウムを開催
香川元太郎氏の城郭イラスト
文化庁の文化審議会は、2023年10月20日(金)に開催された同審議会の文化財分科会の審議・議決を経て、飛騨市内にある姉小路氏城跡の史跡指定、及び江馬氏城館跡への傘松城跡の追加指定を文部科学大臣に答申されました。
この結果、官報報告を経て、飛騨市内における国史跡の件数は2件13城館になります。
小島城跡石垣
姉小路氏城跡にかかわる事業の目的
飛騨市古川町には、中世に朝廷より飛驒国司として任じられた「姉小路氏」、その後に南飛騨から勢力を伸ばし姉小路氏の名跡を継いだ「三木氏」、羽柴(のちの豊臣)秀吉の命を受けて飛騨を統一した「金森氏」という3つの勢力が移り変わった様子の分かる山城群が残っています。飛騨市教育委員会では、この「中世の飛騨の歴史を物語る城跡」の史跡指定を目指して、平成29年より調査を継続してきました。
姉小路氏城跡の概要
文化財の種類:史跡
文化財の名称:姉小路氏城跡(あねがこうじししろあと)
時代:室町時代
所在地:飛騨市古川町高野(たかの)字城山(しろやま)1861番地1 外120筆等
面積:857,234.61㎡
概要
古川城跡主郭の礎石建物 近景
姉小路氏城跡は、古川城跡(ふるかわじょうあと)・小島城跡(こじまじょうあと)・野口城跡(のぐちじょうあと)・向小島城跡(むかいこじまじょうあと)・小鷹利城跡(こたかりじょうあと)の5つの城跡の総称です。
14世紀後葉に飛騨国司となり三家に分立した姉小路氏が、中世飛騨国の中心地である古川盆地の、各々の拠点に築いた中世山城群です。後に同地へ進出する三木氏(みつきし)や金森氏(かなもりし)の手による改修の跡も良好に残り、中世飛騨国の変遷過程を物語る山城群と言えます。
これらの城館群は良好な遺構の残存状況に加え、山城の構造の変遷から飛騨地域の歴史的変遷を読み解くことができる点が評価されます。
姉小路氏城館跡調査指導委員会
委員長 中井均 氏(滋賀県立大学名誉教授)
中井均 氏
姉小路氏城跡の5城は、飛驒国の戦国時代の公家大名の姉小路氏による築城や三木氏による改修から、秀吉の命を受けて飛驒に入った金森長近による近世城郭への改修が非常によく分かる山城跡である。このように中世から近世に至る城郭の変遷が分かる点は、日本の地域支配の在り方の縮図とも言え、国の史跡にふさわしい。
これまで飛驒市に大切に守られきた姉小路氏城跡が今後保存され、国の宝として活用されることが大いに期待される。
飛騨市長 都竹淳也
都竹淳也 氏
姉小路氏城跡を構成する5つの山城は、それぞれが地元で大切に守られ、市でも調査研究・現地ツアーなど価値の発信事業を推進してきたところであり、国史跡に指定されることを、市として嬉しく思っております。
今後も、姉小路氏城跡の持つ普遍的な価値を市民と共有すべく活用し、未来へ継承できるよう保存していきたいと思います。
飛騨市教育長 沖畑康子
姉小路氏城跡の事業は、平成29年以降、飛騨市の文化財保護事業の中心に据えて調査研究に取り組んできたものです。調査の結果、姉小路氏が築いた山城を、三木氏・金森氏が手を加えて再利用していく様子が良く残り、激動の飛騨の中世を物語る遺跡だと判明しました。
今回、国史跡に指定されることは、その価値が認めれたことで、とても嬉しいものです。ご協力いただきました方々に感謝をし、今後も愛される史跡となるよう、皆様とともに保存活用につとめていきたいと思います。
江馬氏城館跡の概要
文化財の種類:史跡
文化財の名称:江馬氏城館跡(えましじょうかんあと)
下館跡(しもやかたあと)、高原諏訪城跡(たかはらすわじょうあと)、土城跡(どじょうあと)、寺林城跡(てらばやしじょうあと)、政元城跡(まさもとじょうあと)、洞城跡(ほらじょうあと)、石神城跡(いしがみじょうあと)、傘松城跡(からかさまつじょうあと)
時代:室町時代
既指定所在地:飛驒市神岡町殿字中通り573番地1 外439筆
追加指定所在地:飛驒市神岡町吉田(よしだ)字宮ヶ洞3086番地 外58筆
面積:10,714,037.47㎡(うち466,271.34㎡が追加指定)
概要
江馬氏城館跡は居館であった下館跡と6つの山城からなる史跡であり、昭和55年に国史跡に指定されました。傘松城跡も江馬氏関連の城館であり、歴史的価値が高いとして、追加指定の対象になりました。
江馬氏は鎌倉時代から安土桃山時代まで北飛驒を中心に所領を持った一族です。
傘松城跡は、周辺の城館や街道、集落を見下ろす位置にあり、領域支配の拠点的な役割を担っていたと考えられます。
傘松城跡主郭
傘松城跡主郭地区西側横堀調査写真
江馬氏城館跡整備委員会
委員長 吉岡泰英 氏(元福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館長)
吉岡泰英 氏
傘松城跡は巨大な堀切や土塁・曲輪等が残り、街道を押さえる重要な位置にある。その軍事性の高さから、江馬氏の拠点の中でも特に重要な山城と言える。
その価値が認められ、国史跡として将来へ伝えていくことができるのは大変喜ばしい。
関連イベントのご案内
【山城シンポジウム「姉小路氏城館跡の実像に迫る」】
滋賀県立大学名誉教授の中井均先生のほか各分野から6名の専門家をお招きし、飛騨市の山城を楽しく学べるシンポジウムを開催します。
日時:2023年10月29日(日曜日) 9時30分~15時30分
場所:飛騨市文化交流センター(岐阜県飛騨市古川町若宮2丁目1-63)
申込:不要(定員600名)
料金:無料
【飛騨市美術館企画展「姉小路氏城館跡と飛騨の中世」】
香川元太郎氏の城郭イラスト(部分)
これまでの各種調査の成果を紹介するとともに、発掘調査の出土品を展示します。また、歴史考証イラスト作家の香川元太郎氏の城郭イラスト原画や、飛騨の武将・飛騨の中世に関連する古文書・典籍・絵画等の貴重な文化財を一挙に展示します。
日時:2023年10月21日(土曜日)~ 2023年12月17日(日曜日)
9時00分~17時00分(入場は16時30分まで)
場所:飛騨市美術館(岐阜県飛騨市古川町若宮2丁目1-58)
入館料:一般200円、高校生以下無料
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
詳細:学芸員による解説など企画展関連イベントもあります。詳細は飛騨市公式サイト
お問合せ先
飛騨市教育委員会事務局 文化振興課
担当:学芸員 三好・大下
電話:0577-73-7496
mail:bunkashinkou@city.hida.lg.jp
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(敬称略)
紅山子(こうざんし)
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
アーカイブ リンク記事をご覧ください。
飛騨市 史跡 江馬氏館跡公園 - 飛騨市の文化財 会所と庭園
国名勝指定 江馬氏庭園 (飛驒市)
飛驒市域東半部の神岡町に所在し、高原川中流域右岸にある段丘中央部に立地している。
14世紀から16世紀にかけて北飛驒を掌握していた江馬氏に関連する遺跡群は史跡江馬氏城館跡に指定されている。
江馬氏館跡庭園は、このうちの居館跡(下館跡)に発見された庭園遺構で、15世紀末から16世紀初頭にかけて完成したものと考えられ、平成11年度から平成22年度にかけて保存整備されて公開されている。
居館敷地の南西隅に、会所と土塀に囲まれた空間に景石石組みを伴う不整形の園池が設けら れ、会所からは土塀越しに左手に高原諏訪城のある山を望み、右手にかけて北飛驒の山地を遠望する。
土塀の内側には緩やかな野筋を設け、手前に園池を配する。園池には底打ちや導水路、排水路などは確認されず、池底は透水層から成って枯れ池の意匠を呈する点は、この庭園において特徴的である。 室町時代における庭園文化の地方への伝播と多様化を示す重要な事例として庭園史上の価値 が高く、保存整備によって芸術上及び観賞上の価値も顕在化された。
飛騨市史跡 江馬氏館跡公園 - 飛騨市の文化財 接客の間より庭園を望む
(詳細は本文にて・・・)
ZIPANG-2 TOKIO 2020~室町時代における庭園文化~「国名勝指定 江馬氏庭園 (飛驒市)」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/4515209
飛騨市 古川祭
飛騨の匠の技を結集した絢爛豪華な屋台
飛騨市 古川祭 屋台の上でからくり人形が舞う
飛騨市 古川祭 屋台での子供歌舞伎 子供たちの晴れ舞台
古くから「匠の里」として栄え、現在でも建築業に従事する人の割合が高いといわれる飛騨。奈良時代以降、高い技能を持っていた飛騨の匠たちは都に派遣され、藤原京や平城京、平安京の建築にも携わったと伝えられています。
万葉集や日本書紀、今昔物語、源氏物語などにも、飛騨の匠たちの真面目で一途な仕事ぶりや高い技術への賞賛が描かれているほどです。先人たちが磨いた技法は今に受け継がれ、建築はもちろんのこと、家具や一刀彫、陶芸、飛騨春慶塗りなど、飛騨を代表する様々な分野に活かされています。
古川祭は全国の33件「山・鉾・屋台行事」のひとつとして「ユネスコ無形文化遺産」に登録がされています。
飛騨市 古川祭 屋台に提灯が灯ると…もう飲まずにはいられない男たち
飛騨の地酒を飲みまわし・・・
一年に一度の古川祭 若い衆はこれからが本番…もうひと踏ん張り、屋台を曳き回せ・・・
(詳細は本文にて・・・)
ZIPANG-5 TOKIO 2020 ~飛騨は一つ~ 飛騨市(古川・神岡)編『伝統風習と全国に誇るふるさと自慢とは⁉』(その2)
https://tokyo2020-5.themedia.jp/posts/11228303
飛騨市古川町 蓬莱蔵元 渡辺酒造店
酒屋のシンボル「杉玉」
杜氏たちは、「美味しい酒が出来ますように」と願いを込めて杉玉を飾るのである
一年を通して杉玉の色の変化と日本酒造りの時期は同調するようですよ。調べてみては…
飛騨の匠の技が冴える紅殻格子の「渡辺酒造」の佇まい。軒下中央には、「蓬莱」の看板と酒造りの神様が宿る「杉玉」が…。七夕には笹の葉がサラサラと軒端に揺れているのかな…
べにがら格子に降る雪を眺め和傘で歩く…飛騨の雪降る日は格別です…朴葉味噌で一献
飛騨の食文化 朴葉味噌 酒も旨い「蔵元の隠し酒 蓬莱」
飛騨市「渡辺酒造店」-その歴史を探る
享保17年(1732)に渡邉家の初代久右衛門が当地で「荒城屋」と称して業を起こし、2代目久右衛門は両替業を始めると共に生糸を製造して京都に販売し、産を成しました。
「荒城屋」創業の精神を暖簾に込めて・・・
渡邉家が酒造りを始めたのは明治3年(1870)、5代目久右衛門章でした。 生糸の商いで京都に旅した折に口にした酒の旨さが忘れられず、自ら居するこの地に酒蔵を構え、旨い酒をとの一心で酒造りを始めました。
出来あがった酒は至極好評となり、酒を愛でる宴で謡曲を謡いながら、えもいわれぬ、珠玉のしずくに酔ったと記されています。
その時、謡曲「鶴亀」で謡われた「蓬莱」を銘柄として選びました。
「蓬莱」は仙人が住むと云われる不老長寿の桃源郷・・・そして、「蓬莱」は人に慶びを与え、開運をもたらす縁起のよい「酒ことば」です。 明治・大正・昭和と、全国の銘醸地を訪れ酒造技術の習得に努め、美酒醸造の努力を惜しまず、品質至上主義を貫き数々の品評会で上位入賞。
若山牧水をはじめ飛騨を訪れる文人墨客に愛飲され、その名は次第に酒通の知るところとなりました。 飛騨を代表する美酒として高い評価を受け、地域風土に根差し、四季折々の食材と共に生活の慶びの一献として、永きにわたり地元の人々に愛し続けられています。
それぞれの酒蔵には追い求めるものがあります。それはどうしても捨てられない酒蔵の魂というべきもの。蓬莱が追い求めるものは
「米のいのちを生かすよう、真っ直ぐに醸す、心や人間性の酒造り」。
伝統と手造りを重視し、古い木の道具を使い、じかに感じる香りや手触りを大切にしています。
現在、9代目・渡邉久憲氏は杜氏・北場広治氏の協力を得て、創業以来受け継がれた飛騨厳冬寒造りを開花させ、今まさに酒造り150年目を迎え、技術研鑚、人材育成、伝統文化の伝承に余念がありません。
ZIPANG-4 TOKIO 2020 氷点下15度の温もり 飛騨の酒 ❝ 蓬莱 ❞「蔵元の隠し酒」とは!?
https://tokyo2020-4.themedia.jp/posts/7745544
大神神社(おおみわじんじゃ)
大神神社 三輪山 夕景
大神神社 三ツ鳥居
大神神社
ご祭神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお山に鎮まるために、古来本殿は設けずに拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという原初の神祀りの様を伝える我が国最古の神社です。
酒造りの神様と仰がれるご祭神
大神神社 醸造安全祈願祭(酒まつり)
大神神社 酒まつり 巫女による舞
11/14 醸造安全祈願祭(酒まつり)
酒造りの神様と仰がれるご祭神の神徳を称えて、新酒の醸造の安全を祈る祭典で、全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列します。祭典後から醸造安全の赤い御幣と酒屋のシンボル「しるしの杉玉」が全国の酒造家・醸造元に授与されます。
『日本書紀』の崇神天皇条には、高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)が天皇に神酒を献じた時に「この神酒(みき)は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸(か)みし神酒 幾久(いくひさ) 幾久」と歌ったとあり、大物主神のご神助により、会心の美酒を造ることが出来たことが記されています。
このことからご祭神が酒造りの神として敬われることとなったのです。
祭典では活日命の和歌で作られた神楽「うま酒みわの舞」が四人の巫女により舞われます。そして、境内では各地から奉献された銘柄を展示する全国銘酒展が催され、樽酒の振る舞いも行われます。
大神神社 杉玉
また、祭典前日には拝殿と祈祷殿に取り付けられている直径約1.5m、重さ約200kgもある「大杉玉」が青々としたものに掛け替えられます。
(詳細は本文にて・・・)
大神神社 拝殿
ZIPANG TOKIO 2020「古社中の古社 三輪明神 大神神社 四季のおまつり(その弐)」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/3450591
※現在、2150件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。
新サイトの記事をご覧いただけます。
ZIPANG-7 TOKIO 2020 (VOL-7)
https://tokyo2020-7.themedia.jp/
最新の記事をご覧いただけます。
ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
https://tokyo2020-6.themedia.jp/
最近の記事をご覧いただけます。
ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
https://tokyo2020-5.themedia.jp/
250件ほどの記事をご覧いただけます。
ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
https://tokyo2020-4.themedia.jp/
235件ほどの掲載記事をご覧いただけます。
ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
https://tokyo2020-3.themedia.jp/
200件ほどの掲載記事をご覧いただけます。
ZIPANG-2 TOKIO 2020(VOL-2)
https://tokyo2020-2.themedia.jp/
615件ほどの掲載記事をご覧いただけます。
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