ZIPANG-7 TOKIO 2020全日本中学生 水の作文コンクール受賞作品が決定!【国土交通省】


 ~子どもたちの水への思いがつまっています~



全国の中学生及び海外日本人学校在学の日本人中学生を対象に、「水について考える」をテーマに開催した第 45 回全日本中学生 水の作文コンクールは、総数 8,771 編の応募があり、審査の結果、最優秀賞(内閣総理大臣賞)1編のほか受賞作品決定。


「水」イメージ


富山県 東山円筒分水槽                     編集局イメージ


熊本県 通潤橋                         編集局イメージ


徳島県 かずら橋                        編集局イメージ



本コンクールは、「水の日」(8月1日)及び「水の週間」(8月1日~8月7日)の行事の一環として昭和 54 年より実施しているものです。次代を担う中学生を対象とし、広く水に対する関心を高め、その理解を深めることを目的としています。

※優秀賞以上の作品は下記のとおりです。


令和5年8月1日(火)にイイノホール(東京都千代田区)にて開催される。
第 47 回「水の日」記念行事「水を考えるつどい」において、優秀賞以上の受賞者の表彰式を執り行います。


【作文コンクール受賞作品】

〈最優秀賞 1編〉

○内閣総理大臣賞

 氏名 安藤 周平 (群馬県 群馬大学共同教育学部附属中学校 3年)

 題名 わさびになりたい

〈優秀賞 10編〉

○厚生労働大臣賞

 氏名 小林 千花 (青森県 八戸市立是川中学校 2年)

 題名 日本の水

○農林水産大臣賞

 氏名 辻󠄀井 珠希 (宮城県 仙台市立郡山中学校 3年)

 題名 大好きな景色と水

○経済産業大臣賞

 氏名 松平 定久 (愛媛県 松山市立南第二中学校 3年)

 題名 ダム湖に沈む村

○国土交通大臣賞

 氏名 平田 菜乃華 (沖縄県 南風原町立南風原中学校 3年)

 題名 水の重み

○環境大臣賞

 氏名 福岡 周 (滋賀県 近江兄弟社中学校 1年)

 題名 手紙 琵琶湖のあなたへ

○全日本中学校長会会長賞

 氏名 水島 颯一 (北海道 砂川市立砂川中学校 3年)

 題名 大切な遊水地と共に

○水の週間実行委員会会長賞

 氏名 佐藤 迪洋 (静岡県 磐田市立磐田第一中学校 1年)

 題名 感動のネットワーク水

○独立行政法人水資源機構理事長賞

 氏名 合葉 鴻太 (埼玉県 川口市立高等学校附属中学校 2年)

 題名 「金賞の思いを捧げて」

○シャワーズ賞

 氏名 中南 仁 (徳島県 神山町神山中学校 3年)

 題名 うちの川

○中央審査会特別賞

 氏名 西ヶ谷 あかり (静岡県 常葉大学附属常葉中学校 1年)

 題名 清らかな水、尊い水

〈入選 29編〉※別紙1参照

【水の週間打ち水大作戦2023】

 水の作文コンクール受賞者の中学生と「水の日」応援大使「シャワーズ」が、飯野ビル敷地内において水の週間打ち水大作戦2023を実施します!

 ※打ち水については、当日の天候等により中止となる場合があります。

 日 時:令和5年8月1日(火)13:15~13:35

 場 所:飯野ビル敷地内(東京都千代田区内幸2-1-1)(別添のとおり)


内閣総理大臣賞(最優秀賞)

わさびになりたい

群馬県 群馬大学共同教育学部附属中学校 三年 安藤 周平


私は、寿司が大好物だ。寿司に欠かせないのが、ツーンと鼻に抜けるわさびの辛さだ。わさびは不思議に満ちた植物だ。

私は、わさび好きが高じて、わさびを自分で育ててみようと考え、わさびの苗を買ったことがある。説明書の指示に従って水槽に水をはり、土を入れ、わさびを植えた。しかし、数日もすると葉が垂れ下がり、ついには枯れてしまった。

その後も、水換えをしたり土の質を変えたりしながら、何度もわさびの水耕栽培にチャレンジしたが、最長でも二か月程度しかもたず、わさび栽培は失敗に終わった。

どうしてうまく育たないのか。調べた結果、溜まり水でわさびが育たないのは、わさびの根から、種子発芽や微生物の生育を阻害する物質が放出されているためだということが分かった。

わさびが放出するアリルイソチオシアネートという物質は、あらゆる植物の成長を妨げる。他の植物だけでなく、なんとわさび自身をも枯らしてしまう。

わさびは、自らが作り出す物質で、生命線である水を汚してしまう。いわば自滅する性質を持っているのだ。だからわさびは流水でないと育てるのが難しい。なんと不思議な植物だろう。

わさびに対する私の関心はますます高まった。わさびの成長する姿を見たくて、私は昨年の夏、久しぶりの外出先に長野県にあるわさび農場を選んだ。

そこでは、見渡す限りの大きなわさび田に、数千株はあろうかというわさびが整然と植え付けられていた。わさび田には、隣を流れる清流から引き込んだ水が、わさびの間を縫うように流れていた。

その水は宝石のように光りながら豊かに流れており、橋の上から見ても、水底の石の粒がはっきり見えるほど澄んでいた。

足を浸してもよいコーナーがあったので、わさびになった気持ちで足を入れてみた。真夏の火照った身体が冷やされて気持ちいいと感じたのは最初だけで、一分もしないうちに冷たさで指先が痛くなり、足を抜いてしまった。

これがわさびを育む水なのだと身をもって体験した。

なるほど、これだけ大量の美しい水が流れていれば、アリルイソチオシアネートもあっという間に押し流され、わさびを枯らすことはないだろう。しかし、流れた先には水田がある。下流で稲が育たなくなるなど水質汚染の問題が発生しないのはなぜだろうか。

この問題はすぐに解決した。アリルイソチオシアネートは比較的短時間で揮発してしまうのだ。わさびを食べたときのツーンとした

感じが長く続かないのはそのためだ。わさびの毒素はすぐに揮発してなくなるから、下流の植物への影響はなく、水質汚染の問題は生じないのだ。

一方、私たち人間はどうだろう。これまでの歴史を振り返ると、産業発展のため、人間は様々な物質を作り出し、水を汚染した。河川に有毒物質が流入し、日本各地で公害が発生した。現在でも、原発の汚染水の問題を抱える。

私たち人間は、自分で作り出したもので大切な水を汚している。生きている以上、周りの環境に影響を与えてしまうことは避けられない。だからこそ、汚してしまった「その後」まで考えることが不可欠だ。

私も、わさびのように生きられないか。私たちには、水資源を守り安全な水を次の世代に引き継ぐ責務がある。生きるために作り出してしまった有害物質を無害にして自然に戻すにはどうしたらよいか。

困難な課題だが、私たちの世代がなんとしても解決しなければならない。新興国では経済発展とともに、環境汚染、水質汚染が叫ばれている。すでに公害を経験した歴史を持つからこそ、私たちが先頭に立ち水を守らなければならない。

私はわさびになりたい。わさびのツーンとした辛みを感じながら、私はその決意を新たにした。


国土交通大臣賞(優秀賞)

水の重み

沖縄県 南風原町立南風原中学校 三年 平田 菜乃華 


水。「私にとって水とは何だろう?」そう自分に問いかけた。普段当たり前のようにある水。「蛇口をひねれば水」という言葉は誰もが耳にしたことがあるだろう。そのため、身近にある水に対して特別に思うことはなかった。

しかし、ある写真を目にしてから水に対しての思いが変わった。学校でSDGsの学習をしている際に見た写真だ。

二~三歳の子が汚れたバケツに泥水を入れ、飲んでいる写真だった。異様な姿に驚いた。すごく悲しかった。「幼い頃からこの水を飲んでいるのか。」「いや、どんなに汚くてもこの水を飲むしかないのか。」心が痛んだ。

この現状を変える方法はないのか、考えた。水をろ過すればきれいで安全な水が飲めるのではないかと思った。

そこで、私は「泥水を自作のろ過器を使い、安心安全な水にする」という自由研究をすることにした。浄水場のしくみを参考に、砂や石綿などを入れ、ろ過装置を作り、土と水をまぜ、石や草、虫が入った泥水を流した。

ろ過を三回くり返し、二時間ほどでコップ一杯分の水ができた。
初めの泥水よりだいぶ透明になったが、まだ安心して飲める水にはほど遠かった。その後、水を煮沸し、殺菌し、残った水をどのくらい汚れているか、薬品を使い調べてみた。するとものすごく汚れていた。

結果、安心安全な水は自作のろ過器ではつくれなかった。その時私は、安心安全な水が毎日好きなだけ飲めることにとても感謝したいと思った。安心安全な水をつくることはとても大変だと実感した。

浄水場で働いている方々に感謝の気持ちを伝えたいと強く思った。「どうしたら感謝の気持ちを伝えられるだろうか。」また、「私が感じた安心安全な水がすぐそこにあるありがたみは、どうやったら多くの人に伝わるのだろうか。」考えた末、水道コンクールのポスターを自分で描いて伝えようと思った。

水道局の人から話を聞いたり、本を読んだりして、自分の思いを伝える為に感謝の気持ちをこめた、ポスターを描いた。キャッチコピーは「命をつなぐ・水をつなぐ」浄水場で働いている方と、健康で元気な私達が水を飲んでいる絵を描いた。

すると賞をもらい、様々なショッピングセンターでしばらく展示することになった。私のポスターを多くの人に見てもらうことができ、嬉しく、胸が熱くなった。

私のポスターを通して、多くの人に安心安全な水は、浄水場の方々やダムの管理をしている方の苦労を経て、今の私達がいるということを考え直してほしいとあらためて思った。だから私は、来年も水道コンクールのポスターを描きたいと思った。

蛇口をひねれば透明な水。何の心配もいらない水。おいしい水。好きな時に好きなだけ飲める水。これは当たり前じゃない、ということをSDGsの授業で見た写真やろ過器を使った実体験を通して深く学んだ。

「水を大切にしなさい。」「水に感謝。」「蛇口をひねれば水。」今ではこれら一つ一つの言葉に重みを感じる。私達の生活に水は欠かせない。全ての人が水と関わり生きていく。だからこそ、水のありがたみを知ってほしい。感じてほしい。私は、それを知って感じてもらうために、これからも自分にできることを探し、多くの人に伝えていきたい。

もう一度自分自身に問う。「私にとって水とは何だろう?」
私はこう答える。「私にとって水とは日々感謝をする人生のパートナーだ。」


環境大臣賞(優秀賞)

手紙 琵琶湖のあなたへ

滋賀県 近江兄弟社中学校 一年 福岡 周


「私はあなたのことをよく考えもせず、食器洗いをした時、お皿に残ったマヨネーズをふき取らずに流してしまいました。いやな思いをさせてしまい、ごめんなさい。」

私が食器を洗っているのを見た母が「あぁ」と声を出したので顔を見ると、とても残念そうにしていました。何かが遅かったようでしたが、私には理由がわかりませんでした。

母が「一緒においで」と庭の地面にある土がついた白いふたを開けて私にみせました。そこには白いかたまりがぼろぼろと浮いていて、泡とともに生臭いにおいがしました。思わず「くさい、気持ちが悪い」と私はふたをしめました。

すぐに母が言った言葉は「ふたをしめてもその油は消えたことにならないよ」と。

それから日がたっても、なんとなく地面の下が気になっていました。
学校へ行く途中もマンホールの下に流れていく水のこと、その行く末が心配になりました。

翌日図書館へ行き、水のことが書いてある本を探しました。特に滋賀県の下水がどこに行くのか知りたかったので、『琵琶湖のカルテ』(今関信子著)を司書の方に紹介してもらいました。

琵琶湖の水質などを調査し科学者達がまるで医者のように琵琶湖の状態を心配していました。私はその本を一気に読みました。そこには、人間の活動環境の変化が琵琶湖の調子を崩していることが書かれていました。

合成洗剤により赤潮が発生、魚が多く死に、その水で洗たくをした布おむつを赤ちゃんが使用したことで肌がかぶれたことなど、色々な影響が出たことを知りました。

私は滋賀県に住みながらも、合成洗剤をせっけんに変える「せっけん運動」のことを知りませんでした。今まで身近なところを見ようとせずに、水をよごしていることに無関心だった私は自分をはずかしく思いました。

家で使用しているせんたく洗剤の袋にかかれている成分を調べてみました。そこには、「界面活性剤、蛍光増白剤」の言葉が見えました。そのことも本に書かれていました。

実験をすると合成洗剤をまぜた水そうの中にアユを入れると死んでしまいました。水は透明できれいな水に見えたが、その蛍光増白剤は、洗たく物を輝くような白にします。その美しい白が、魚たちの命をおびやかしているのです。

私はその悲しい実験の結果をみて、白い服が真っ白でなくてもいいのにと思いました。同時に私が着る制服の白いカッターシャツを思い出しました。

「琵琶湖の水をきれいにして魚たちが死なないように、私のシャツは真っ白でなくてもいい。」と、これから合成洗剤をせっけんにしていこうと家族で話をしました。いまからは琵琶湖のために行動していきたいと思います。

そしてもう、マヨネーズを流してしまう私とはさよならします。この取り組みを新しい制服を着ている仲間にも広めていきたいです。きっと琵琶湖も生き物も喜んでくれるだろう。まずは私が今、自分にできることからはじめたい。

「琵琶湖のあなたへ、お久しぶりです。以前の私は、あなたはきれいな水で元気に過ごしていると思いこんでいました。人間と共に生きることに苦しんでいたのですね。私が小学五年生の時に行ったフローティングで船上からみたあなたは、緑っぽく顔色が悪くみえました。私は生活を振り返ってみました。毎日使って流していた水のよごれや、水の行方を今まで知ろうとしませんでした。

私は今自分にできることをしています。小さな行動なので、大きなあなたには何も感じないかもしれませんが、これから続けて、その活動を広めていきたいと思います。あなたにこの先、私達人間と共に生きることを喜んでもらえるように。

また会いに行きます。さようなら。」


厚生労働大臣賞(優秀賞)

日本の水

青森県 八戸市立是川中学校 二年 小林 千花

 

亡くなった私の祖父は「水をつくる人」だった。
四十年以上もの間、市の浄水場やポンプ場で市民のための水を作り続け、みんなに届け続ける仕事をしていたそうだ。

私の知っている祖父はすでに退職し、優しく明るい、たくさん遊んでくれたおじいちゃんだった。そして私が四歳の時に亡くなったので、祖父の仕事についてはあまり詳しくはなかった。

母から私の知らなかった祖父の働いていた頃の話を聞いた。
水道の水は、二十四時間、すべての人に届けることが必要だ。そのため、祖父の勤務は日中働いた次の日は夜勤、夜勤から帰宅した次の日が休みという四日間のサイクルを繰り返していたそうだ。

土日が休みではない日も多く、母は家族旅行などもほとんど連れて行ってもらったことがなかったそうだ。

水の作り方は、その日の川や湧き水のコンディションを確認するところから始めるそうだ。にごり方や雑菌の量、PHなどを調べ、それに合わせ、薬品を加える。不純物を凝集剤で取り、ろ過し、塩素を加えて殺菌し、水道水を作る。

大雨や台風などのときは急激に水が濁るため、真夜中でも職場に駆けつけ、水作りを手伝わなければならないときもあったそうだ。

それから、季節や時間、使用量を調べながら、送水量を考えてそれぞれの地域に水道水を送っていたのだそうだ。

祖父は、「八戸の水は自分たちが守るんだ」と誇りをもって仕事をしていたそうだ。
八戸の水は「軟水」で、味がまろやかでおいしく、髪や肌がつるつるになる良い質の水でもあるそうだ。

塩素の匂いがする水が嫌いな人も多いが、匂いのない水は送水の末端の、殺菌力の低下した危険度が高い水だということも初めて知った。

水道の蛇口をひねると出てくる水は、かつて祖父が誇りを持ってつくり、今も誰かが私たちに届けようと、心を込めてつくり、送ってきているものなのだと思う。

私にとって、水道水は少しだけ特別なものに感じられるようになった。

私たちは日常で沢山の安全な水を使用している。だが、世界には安全な水を飲めず、そもそも水を飲めないという人もたくさんいるのだ。二〇二〇年には安全な水を飲めない人が世界中に二十億人もいる。これは日本の人口の十六倍にもあたる。

日常で使用している水は、当たり前に安全だと信じているが、その安全は日本に豊富で良質な水があり、誰かが守ってつくってくれたものなのだと知った。

水道から出る水がどこから来たのか、どうやって来たかを知ると、大変な手間がかかり、私たちに届いていることが分かる。

そんな水を、これから大切に使っていきたい、
未来の誰かが使えるものへと繋げていきたいと思う。


農林水産大臣賞(優秀賞)

大好きな景色と水

宮城県 仙台市立郡山中学校 三年 辻井 珠希 


“水”と聞いてあなたは何を連想するだろう。
どこまでも続く海の水、水道の蛇口から出る水、透き通った湖。世界には様々な“水”がある。

そんな中、私が思い浮かべたのは、五月の見渡すかぎりに広がる水田だ。
私の祖父母は農家。一面の田んぼは見慣れた景色で私はこの“田舎”と呼ばれる風景が大好きだ。

田んぼは一年を通して様々な形状になる。
稲作において水はとても重要。そのつながりを特に感じるのが五月に行われる田植え、そして水田だと私は思う。水田や水は稲作においてどんな役割をもっているのだろう。

まず、水田に張られた水には主に三つのはたらきがある。

一、稲を寒さから保護する。
水には「熱しやすく、冷めにくい」という性質があり、気温が低くなっても水の中は温かい環境となる。稲は熱帯で生まれた作物なので、気温が低くなると冷害の被害を受けやすい。水が温度調節をしてくれることで稲を冷害から守れるのだ。

二、雑草、病害虫の発生を抑える。
田んぼに水が溜まっていると、土の中は酸欠状態になる。この状態では多くの雑草の種子が呼吸できず、芽を出すことができなくなる。また作物に悪さをする病害虫も、水が張ってあると棲みづらい環境となるため数が少なくなる。

三、連作障害をなくす。
同じ土地で同じ作物を毎年育てていると、病害虫などの被害を受け、収穫量が減ってしまうことがある。水を溜めることで、不足しがちな微量要素の補給ができたり、逆に過剰な成分は水が流し出してくれる。また、二つ目のはたらきで言ったように、病害虫の被害を防ぐこともできる。

このように、水田に張られた水には、多くのはたらきがある。水があることで安定して、おいしいお米を作ることができるのだ。

そして水田にはお米をつくる以外にも隠しもった三つのすごいはたらきがあるのだ。

一、水のろ過。
水田に入った水は、地下に浸透し、土の中のパイプのような水路を通る。この間に、ゴミなどは土の表面で、もっと細かい不純物は土の中で取り除かれてきれいな水になる。

二、洪水を防ぐ。
水田の周りにはアゼという、水田と水田の間に土を盛り上げてつくった小さな堤があり、このアゼがあるために水が溜められる。アゼに囲まれた田は大雨のときに雨水をため、その後ゆっくり川に流す。田んぼは、ダムのようなはたらきもするのだ。

三、さまざまな命を育む。
水田には、バッタ、トンボ、カエル、タニシ、メダカなど、多くの生き物がいる。堆肥などの有機物を分解する微生物が繁殖し、それを小魚が食べ、小魚を水鳥が食べる。クモや昆虫をカエルが食べ、そのカエルをヘビが食べ、そのヘビを猛きん類が食べる。

この「食物連鎖」によって水田では多くの生き物がつながり合って生きている。

今回は水から一面に広がる水田を連想し、そこから水田に張られた水の役割や、水田の意外な一面などを知ることができた。普段見ていた水田の水にこんなにたくさんのはたらきがあることにすごく驚いた。

水田にも、お米を育てるだけでなく、自然への貢献があると知り、多くの人が、“田舎”と言っていやがる景色にこんなすごいはたらきがあることを知ってほしいと思った。

水が透明なのは水を通して物事を見ることで沢山のことに気付くことができるからではないか。みんなにも普段近くにありすぎて意識しない水を通して物事を見てみてほしい。近くにありすぎて、当たり前、とさえ思わないものにも意識を向けて生活することで

少しずつ社会は変わっていくのかなと、私は思った。


経済産業大臣賞(優秀賞)

ダム湖に沈む村

愛媛県 松山市立南第二中学校 三年 松平 定久


私の祖父が建てた旧伊予三島市の家は、銅山川のほとりにひっそりと建っている。そこは、奥の院泉龍寺を通り過ぎ、細い山道を進み、金砂湖を渡り、中の川へ入った所にある。

家族と春休みに訪れた際、澄んだ青緑色の金砂湖を想像して望むと、今まで見た事のない水位で、底が干あがるほどとなっていた。建物や道路の基礎と思われる跡を見つけ、父がダム湖に水没した村の話をしてくれた事を思い出した。

私は、この広大な自然にそびえ立つ銅山川3大ダムにより、どのような水資源開発が行われていたのか知りたいと思った。

銅山川疎水は、「四国三郎」と呼ばれる吉野川上流の銅山川からトンネルを貫き、四国中央市に農業用水を供給している。

水源不足による度かさなる干ばつのため、流域変更による分水を求め、下流の徳島県との調整や、ダムにより水没する村との交渉など幾多の困難を乗り越え現在では、発電や工業、飲料水に利用され全国屈指の製紙産業や都市の発展を支えていることが分かった。

そして、私が水切り石で遊ぶ銅山川は、雲母を含む石が多く、日光が当たると川がきらきらして見え、その用水は「黄金の水」とも言われ、金砂村には「史跡、砂金採取跡の碑」が建てられている。

私は、自分が今までまばゆい沿岸に建つ立派な煙突を見て、誇らしい気持ちを感じていたが、その発展する産業の陰には、水没する村があったと思うと切ない気持ちとなった。

そして、その水資源の開発は、村を水没させるだけではなく小学校が廃校になるなど、村が過疎化するきっかけとなったと考えるようになった。

また、平成の大合併で、山間部にある農山村主体の自治体が、平地部の都市と合併することで過疎化が進行するという、典型的な例も相まってへき地となったことが分かった。

実際、雨戸の閉まった商店やブラックバスの船着き所を通る度に、祖母や父が昔利用した時の事を懐かしそうに話し、閉鎖して残念そうにしていた。また、日暮れ時には、民家の灯りを探し、村民の生活を感じると何処かほっとした感じであった。

私は、過疎化が止められなくても、関わる人として、集落の生活やダム湖の水位を心配するなど、関心を持ち続ける事が大切であると思った。

また、近年近隣の中学校ではその昔農閑期の副業として砂金採りが行われていたことなど、ふるさとの歴史を知り、触れ合うことを目的として、銅山川で砂金採り体験が行われている。

私は、輝かしい産業だけに注目するのではなく、その産業の基礎を成した銅山川やダムについて学習し、当時の人が未来に架けた思いを理解する事が大事であると思った。

三島の家には、中の川温泉を引いており、祖母は訪れる度に入浴を楽しみにしている。川の水を引いていることもあり、水道代が無料の温泉である。

しかし、川の恩恵には土や落ち葉が含まれ、水道管を詰まらせ、お風呂や台所での給水が困難な時もある。

祖母は、自宅からペットボトルに飲料用水を何本も用意し、父は、寒い日も日暮れでも、文句を言うことなく、手慣れた感じで工具を持ち、外の水道管のゴミを取り除き、温かいお風呂を沸かしてくれる。

私は、そんな家族の姿をみて、川の恩恵を受けるというのは、便利に改良するのではなく、川を理解し、手をかける事もいとわず、共生する姿勢が大切なのではないかと思った。

現在、銅山川3大ダムの貯水状況は平年を下回り、渇水対策が継続して行われている。瀬戸内海気候による降水の少なさは、今も変わらず人々を悩ませている。

私達は、先人達が未来に託した思いを胸に、台風や気候に頼るだけではなく、水と共生する社会を私達の子孫のために次は自分達が考え続けなければならない。

祖母がいつまでも温かいお風呂に入れるように銅山川と共生していきたい。



編集後記

それにしても、都会の子供たちはどないしよったんかいな?
(天の声:ほらもう地方の時代よ・・・今頃気い付いたんかい!)

恵まれ過ぎなんやろか…ほんなら移住したらどないだ🐦
(天の声:おぬし、相変わらず単純やのう。遅かりし由良之助よ!)

そやかて、諦めたらアカンのやないケ😠『VIVANT』みたいによ❕❕❕


鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使


協力(順不同・敬称略)

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 電話: 03-5253-8111

紅山子(こうざんし)


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ZIPANG-7 TOKIO 2020

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